歯科の治療費はどなたも気になるところ・・・
 
 歯科の治療費は高いと思われている方が多いようですね。
 この前も老人健康保険をお使いの患者さんに、「今度入れ歯を入れるときにどのくらいかかりますか?」と聞かれ、「3.500円位です」と答えると、とても驚かれたようでした。ご近所の方から、入れ歯を作るのに「40〜50万円かかった」という話を聞かされていたそうです。
 このように歯科は高いと思われている患者さんとは逆に、健康保険で治療すれば何でも安いと信じておられる患者さんもいます。
前歯に前装鋳造冠(さし歯)は健康保険の中でも一番高いもの(3割負担で1本6.000前後)なのでこれを数本入れた後、事前に説明していても、窓口で問答になることがあります。
 
 いったい、歯科の治療費というのは安いのでしょうか?それとも高いのでしょうか?
 
Q.欧米と比べると日本の患者さんは恵まれているようだが?
 
 日本の歯科の治療費はアメリカの1/3から1/10程度です。

 例えば、大臼歯の根管充填の料金を調べると、日本はスリランカや中国よりお安いようです。また物価水準が10倍くらい低い安い国よりさらに安いという結果があります。
 物価や人件費や賃貸料の高い日本では、保険診療中心の開業医は、まず一日に40人も50人も診ないとやっていけませんが、アメリカでは、その1/4以下の患者さんを診るだけで、歯科医院は成り立ちます。
 
 日本では、短時間で多くの処置をこなせねばならず、どうしても治療に無理があって、再治療が必要になってかえって医療費が高騰する心配があります。
 特に皆さんの目に触れず仕上がりの差がわかりにくく、根管治療(建物の土台とも言うべき基礎工事)にしわ寄せがいきやすいのです。
 大学病院や公立病院を除いて総合病院でも歯科が少ないのは、他科に比べて経済効率が悪く採算がとれないためといわれています。
・・・内科などでは1日150〜200人ほど診ると言われています。
    酷いところでは「点滴もう一本運動」をしていると聞きます。
 
 確かに保険診療に比べ、自由診療が高いことは事実です。しかし、それは“時間をかけて治療する”という意味で、治療内容の質が料金化されていると考えていただきたいのです。
・・・歯科医療革新以前に成立した健康保険による治療費を基準にする考え方に無理があるでしょう。 
        
          参考 歯科医療の歴史
 
 むしろ問題は技術料です。技術料を加味するということは、よりよい治療をするために、一人一人に対し、十分な時間をかけて確かな治療をしたかを正当に評価していただきたいのです。当然、採算を度外視した根管治療の費用も含まれています。
 
 自由診療(保険外)にはアメリカ並の丁寧な治療が可能なことも確かですし、口の中でより安定した自然にみえる冠などが選べて、歯科医自身が受けたい治療内容となっています。
 
 先に言いましたように、欧米では歯科治療は全て高くつきます。とくにアメリカでは、医療保険を掛けていない人は、大学病院や慈善団体の運営する病院以外では治療が受けられません。また、医療保険の多くは歯科受診をカバーしていないので、歯科医にかかることは経済的に大変で、特に歯を大切にするようです。
 
 欧米人を治療して感じることは、日本人と違って、非常に関心が高い!と言うことです。
例えば、『あなたは顎関節症になっている。』と述べると、サーッと顔色が変わります。
・・・しかし、日本人の大半は 『人ごとのよう』 に聞き流します。
 
 毎日きちんとブラッシングするだけでなく、年に何回かはリコールに行って点検してもらい、大がかりな処置になる前に悪いところを発見して、安く治療しようとします(それと口元がきれいでないと、社会的地位の低い人として差別されるという理由もあります)。
 
痛くなったら気軽に受診できる日本のように、何かあるまで歯科医院へ行かないで、
 しかも痛くなくなったら途中で治療を止める人が多いのとは対称的です。
 
 
Q.日本ではどうしたらいいの?
 
歯科の治療費が高額で、結果的に歯を大切にする社会がよいのか?
いつでも、どこででも、
ある程度の治療は受けられるがゆえに歯をおろそかにしがちな社会がよいのか?
・・・難しい問題ですが、ぜひ皆さんにもじっくりお考えいただきたいと思います。
 
 現に日本の健康保険は機能していますので、それを利用できるところは利用して、ほころびかけている部分は自費も組み合わせるように、じっくりかかりつけの歯科医とご相談されると良いと思います。毎日のしっかりとしたブラッシングや定期検診などは見習うべきで、
それぞれのいいとこ取りをしましょう。
 
Q.医療費控除とはどんなものか?
 
 治療費を支払った場合、自費負担した料金は医療費控除の対象になりますので、控除を受けたい人は、税務署に確定申告をしてください。
 これは治療費だけでなく、支払ったすべての医療費が対象となります。その料金を被扶養者の分も合算して年間10万円を超えた場合は、確定申告すれば還付が受けられ、税金(一概には言えませんが、治療費の20〜30%)が戻ってきます。この控除を受けるためには、医院が発行する領収書などを添付するか提示しなければなりませんので、毎回の診療後にお渡しする領収書をしっかり保管しておいてください。
 
 領収書は再発行されないのがふつうです。 
 再発行時、事務手数料(領収金額の数%)を徴収される場合もありますので、大切に保管して下さい。